夜の気配/いねむり猫
 
夜の気配に触れて
私の思いは
満点の星空へ解き放たれる

決してあなたの前では形にすることのない思いが
夜の冷気と慈愛の中
予期せぬ激しさで 身を起こす

果てしの無い天空に満ちた音楽と
細く研ぎ澄まされた思いが 刹那に共鳴して
星空の中に振り撒かれていく

あなたの眠る方角 オリオンへ旅立つのなら
あなたの唇のやさしい弧が 小熊座の中で遊ぶなら
あなたの華やいだ声が ペテルギウスの星辰に木霊するなら
あなたの美しいうでが シリウスへとさし伸ばされるなら

抜け殻になった私は 星の声に酔って 
彷徨を続けよう

私の思いがいつか 星空の旅からもどり
あなたの寝息がかかるシーツへと 降り積もっていくころ

夜の気配が ようやく私を満たして
浅い眠りをゆるしてくれる


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