性/三条
美しい夕方だ
そう彼は言った
わたしは気付かない振りをする
コーヒーが熱を奪われていく
あなたは答えない
清潔なベットの上で
わたしは服を脱がされる
子供の頃を思い出す
わたしはすこし
どうしようか道を失う
子供のわたしはいつだって
困ったような顔をしているの
そうして今も大人しくなれないでいる
ねえ、
なにも纏わないでいたって
わたしはなんともない
ほら、わかるかしら
わたしはまだ裸ではないわ
まだ繕っている
清潔なベットの上の
ふしだらな行為に
汚れた一枚の皮を
そっと抜けてまたつける
わたしはなにも術を持たず
ただやおらかに死んでゆくのね
これが幸せというものなのかしら
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