淡々と、港にて/リスト
。耳障りのよいハイハットシンバルとスネア、バスドラ、それと、焦がれた女の歌声、煙の漂う港で、手足をなまり付きの鎖で繋がれたままうろついている時のしんどい状態を、少しづつと溶かしてゆくために
いま、ぐちゃぐちゃにひしゃげた魂が美しいと感じているおれがいる。からだの至るところで束なっている全神経が、低空飛行していた純潔な臭覚にふれてしまったから、こんなにも醜くなってしまった人間がここにいるんじゃないかな、でも今夜、みたされてしまったものはしょうがないのだから
夜が明けるまで淡々と流れているものを、すくいとってゆくしかないのだと
また、静かに耳を澄ます
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