思う/松本 涼
 
夜毎に降り注ぐ
ジェルのようにベトついた
粒状の哀しみは
いくら祓えども僕に纏わる

心を失くして遠くを彷徨ってみても
遠くで思う僕にまた出会う

干からびた約束には
何の重みも無いけれど
その地点に
微笑む自身が悔しい

哀しみが灰のようであれば
いいのにと思う

さらりと祓っても
何一つ語らなければ


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