やさしい怪獣/tonpekep
かいだんを
果てまで上ることにした
上にのぼる程に
ところどころこわれたヶ所があって
下をのぞき込んだら
いっぱいなみだが落ちた
高さには差があるけれど
ひとはそれぞれ
頂を所有しているらしく
そこから流れる水のようなものが
たぶんこころっていうもんなんだろう
幾つかの分水嶺で
それはたのしくなったり
腹が立ったり
かなしくなったりする
わたしたちはきっと
単純な流れで出来ているに違いない
やさしい怪獣が
こども達と鬼ごっこをしている
わたしも仲まになろうとするけれど
案山子のように鬼ごっこのあいだで
突き刺さっている
たくさんの会話を包んだ
ふろしきをぶら下げながら
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