空が青い理由を/日和
い君は
空を見上げたまま
にこにこしている
いつか僕のもとを離れていくとも知らずに
ただぎゅっと
僕の人差し指を握りしめている
そんな君を見ていると
目蓋がじぃんとして
熱くなって
いけない、と思う頃には
もう遅い
この小さな涙腺から溢れでる水が
いずれ
僕の頬を滑り落ちて
地面で弾け
蒸発し
空に消えて
いつかまた降り注ぐこと
その理由
その原理
その意味すら
今はまだ、知らないでいてと
願う
君が僕を仰ぐ気配
“どうしたの、お父さん”
君の声が聞こえる
水が目ににじんで
僕はまだとうぶん
空が青い理由を見つけられそうにない
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