真夜中のミサ/いねむり猫
にぬかずくのは
私の自転車と何の信仰も持たない私
巨大なこれら建造物を真にあがめたのは
この柱の影で息絶えていた
あのホームレスだけ
人々が意図せずに作り上げた神聖な空間は
日々の風雨に曝され
敬う人もなく、烏や猫にさえ愛されない
そして生み出された時と同じように
今でもコンクリートとアスファルトの臭いを放しつづけている
遠くで暴走族がバイクを苛め抜く猛々しいエンジン音がこだまして
それは一瞬のミサを形成する
私たちは この汚れた街に生まれ この汚れた街に生き続けることを誓います
私たちは 自分たちをいやいや育てた親たちから できるかぎり早く離れ
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