「すべてがつりあいのなかで」/ベンジャミン
 
てもねたんでしまいます

そんなじぶんをかんじるのもいやなので
ぼくはできるかぎりいきをひそめて
そっといきていたいとおもったりもします

けれどそれはあまりにさびしいので
ときどきぼくはよわむしになって
なつのよるのくらがりにいる
ちいさなむしのいっぴきのように
じぶんのいのちをうたいあげながら
そのばにあることのよろこびと
いきていることのかんしゃを
わずかなまんぞくをもとめてなくのです

かなうならそれが
よろこびでもかなしみでもなく
すべてがつりあっているせかいの
ひとつのりそうであるのなら
たとえばだれかのこうふくや
たとえばだれかのふこうなど
まったくかんがえもせずにいられるのでしょうが

きょうもこんなくらがりで
こうしてよどおしことばをふいて
ゆれるくさわらにまぎれるように

どうしてもなくことをやめません



    
戻る   Point(6)