もいっぺん、童謡からやりなおせたら(第二稿)/角田寿星
 

詩 って なんだろうね?
君がぼくに訊ねる
ぼくは 脱いだばかりの
クツ下のにおいを無心に嗅いでいて
君の問いに答えられない
君の目とぼくの目とが ゆっくり重なる

たとえば 早朝の草野球
主将どうしが試合前に握手しながら
詩 って なんだろうね?
という会話はしないだろうし
あるいは 帰りがけのコンビニ
店員のおねえちゃんが
付けまつ毛をパチクリさせて釣りを渡すとき
詩 って なんだろうね?
と話しかけはしない

思えば 結婚して10年になるけど
君とぼくが
詩について話したことは一度もないんだ

詩 って なんだろうね?
君は ぼくに今すぐにでも
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