森への道/いねむり猫
森の中
木々を見つめることで開かれていく目
太い幹に彫刻された樹皮の模様
日の光の熱
季節の風が作った枝のうねり
いく層もの葉を重ね
一つ一つが異なる緑の天蓋
風が吹くたびに変わる光の道
ゆっくり歩き 歩きながら緑を吸う
少しづつ 私は正気に返っていく
この小さな森にたどり着くまでに
どれほどの狂気を 生きていたのか
思い出して ふるえる
足元の雑草たちの 一つ一つの葉の異なり
踏まれた草たちの香
森の中で 私の体が開かれていく
私が自らとざしていた音たちが
どれほど豊かな重層性をもっていたのかを
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