ゲニウスの響き/モーヌ。
 


ヴィルへルム・F の それの ような

白い タクトが

曖昧な ままに 空(くう)を 振って

プロムナード・ウォークの テンポに

からだと リズムを 泳ぐと

扉を ひらく 身振りに まかせながら

つむられた まぶたの 大陸へ

ひるがえって 進む キャラバン は

カフェ・オ・レの 色彩と 瀰漫する 卓子と を

カップの けむりに 放浪して いる





やがて はためきつつ

ひっそりと 歩み はじめる

ありあけの 道

首都の 夢幻は ふしぎな ほどに

森蔭の 衣擦れが して いる

さわ さわ
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