屋根のない明るい部屋で/氷水蒸流
 
空と僕らには距離がなかった
窓は開かれていた
白いテーブルの上に
幾千の微細動
まるでナイロンの弦を束ねた
世界のつけ根はたなびき
差し入れる指は風に同調する
触れた先からほろほろと物語は散り落ち
床には虹が横たえ
ゆったりと渦巻く薄い光を呼吸しながら
赤から青へ 紫から青へ
なだらかに延びるスロープを演じている
青は果てしなく空(から)で
両脇で物語たちは交わり
出来の悪いコピーを繁殖する
しなやかな放物線を描き終えると
神妙な眼差しを落として
閉じた手の中で賽を振り
互いの色を振り分けている
青には7が置かれた

「ほわあああああ」
いつものよ
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