定規/乱太郎
 
ちいさな定規で世界を測る
一ミリよりも
さらにミクロな世界があることに
普段ほったらかしていた
ものがあることに
僕をみていたものが
あることに
ちいさな定規は
うなずいて
そっと教えてくれた

ちいさな定規で世界を測る
三十センチよりも
いくつ定規を並べたところで
とどかない
長い世界があった
僕は
そこで一ミリにも満たない
さらにミクロなところで
悲しんだり
怒ってばかりしている
ことを
ちいさな定規は
微笑みながら
そっと頭をなでてくれた


ちいさな定規
直立不動の時も
屈伸している時も
にやりとしながら
僕らのこころの長さを
いつも測っている

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