寄り道せかい/
まきび
打ち上げられた
貝の中に
真珠ではなく
小宇宙が
波の形を
ひびかせて
おもしろげに
反芻している
波打ち際に
アメフラシが
空の青を受けても
ちっとも色を変えずに
お気に入りの貝に
そっぽを向かれたのか
ずっと海岸に
寄り道している
朝の光が
塩と水を混ぜ合わせて
魚達は海面をつつき
いえなかった言葉を
探しているのか
うろうろと
世界を泳ぎ回っている
過ぎてゆく世界は
あいまいにぼやけ
やがて海の形は
朽ちてゆく
それでも生きる
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