村人と狼/はじめ
ってぜぇぜぇと荒い呼吸をしていた 僕達が何かを言う前に 大丈夫 ただの麻酔銃だ と父親は言った
僕達は狼の意識が戻るまで村の真ん中にある共同テントの中で狼の看病をしていた しばらくして狼が目を覚ますとさっ と体を構えて牽制して僕らに噛み付こうとしたが 僕達は宥めて 狼とじっくり話した 狼は涙し そして申し訳なかったと言い 自分は奪われた家族を取り戻す為 旅に出ると言った 僕達は村の入口まで狼を見送り 小さくなって見えなくなるまで手を振った 僕達は狼から大切なことを教わったような気がした
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