夜/凍雲 月歌
誰もいない真冬の歩道橋の上
きんと張り詰めた空気の中
冷気を体いっぱい吸い込み 体の隅々まで洗い流す
賑やかで煌びやかな繁華街の夜に背を向けて
より深い闇の中 ひっそりと息づく小さな明かりを見つめる
眼球から脳の奥までじんわりじんわり闇に染め
体の奥底から湧き出るのは 涙のようで涙ではない何か
果てが闇の中に消えた道路の行く先を眺め 私はふと感じる
「あぁ、私は今孤独だ」と
そう自覚することによって私は私という存在を再認識する
底無しの闇に身を委ね 私という存在を見直すのだ
明日からはまた陽の下で忙しなく生きる日々
今このひと時だけは 私は闇と同化し眠る
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