醜い雲/はらだまさる
捏ね上げた憂鬱が砕けそうになることがある。
俺は俺で生きることに精一杯で
それはきれいごとやなくて、毎日エズいて
大好きな酒と煙草を控えても
胃が、きりきりと痛む。
これ以上近づくと、二人とも壊れるやろう。
そやけど、好きなんや。
一人では生きられんのや。
俺も、おまえも。
余りにも弱い。
俺の大好きな人が
「雲をずっと見つめて消えろ、消えろって念じながら
指で擦って、三分くらいしたら消えんねんで」
って真剣に言うてたけど、信じるか?
俺やってみたんやけど、
三分間、集中しておんなじことをずっと念じんのって
結構長いねん。で、三分もたへんかった(苦笑)。
信じる、ってなんなんかな。
力、なんかな。
信じるよ、
俺は。
この、
醜い雲の
向こう側を。
そやから、
ひとりが怖かったら
気がすむまで俺の中で泣けばいい。
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