アンタレス /Rin K
 
約束の
指に滲むは、アンタレス
はかなき刃(やいば)がつけた星

アンタレスは
あなたの星です
あなたの心です
傷みに濡れて
なお歌うのですか
静寂に映える
紅き旋律



   三  アンタレス disk2


ふたりで歩いていたら
足元が少し不安定なことに気がつかないから
いつの間にか僕ら、
地球儀から夜空に滑落していた

星を敷いて眠る
昨日は白夜の夢を見た
君は星にまみれていて
僕も星にまみれていて
似合わないね、なんて言い合いながら
朝はいつ来るのだろうと
少しだけ心配になる

天地が逆だから
朝が怖いことだってあるのね、と
君が投げてよこした赤い星
僕はその名前を知っている
君の母さん、の次くらいに
僕が呼んだ名前

あかい、星 
すごく、甘い香りがする―――




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