雨/
七味とうがらし
ふいに夕立ち、
道を行く人々
急ぎ帰るなり引き返すなり
笑っている。
うなる空
大粒の水玉
白い歯で
目を細め笑い合う自転車の学生
それでもパンツをかばう女学生
缶蹴りの
缶を狙うような
ひさしの下のおっさんはにっこりたばこ
ぼくは
ワイパーがあるから嬉しいはずだけど
雨音が止み
前の車がたばこを投げ捨て、
恐らくそれはじゅっと言って死に
蒸発するアスファルトは臭く、
臭い顔する人々
ぼくたちはそんな顔でした。
戻る
編
削
Point
(9)