死に神/はじめ
 
 冷たい空の下街を見下ろしながら死に神は救急車のサイレンに合わせてリズミカルに踊る
 ママからプレゼントされた巨大な鋭利な鎌を振り回して それは血塗られた三日月のようだ
 今日も魂を刈るのが楽しみだ 死に神は病院にいることが多いのだ
 しかしもう既に他の死に神達も病院に来ているらしい 仕事は時間が勝負だからすぐに直行しないと他の死に神達に魂を取られてしまう
 しかしこの死に神は呑気な性格だから鎌と同じ形で浮かぶ月と星空を眺めて遠ざかるサイレンに合わせて絶頂で会社をクビになっても厭わないといった調子で全く病院に向かおうとしない もう手遅れだと思っているのだ
 携帯電話が鳴って 奥さんからの
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