クレープシュゼットの海/
佐々宝砂
ソーがない
オレンジキュラソーもない
ブランデーも
コアントローもない
温めたお酒に火を点けるための
マッチがない
だなんて嘆いてみるけど嘘
ほんとはコアントローがあるの
あっためてライターで火を点ける
いっそ静かな青い炎
燃えあがるクレープシュゼットの海
それでもまだ足りなくて
足りなくて
足りないのは
ほんのすこし前まで
一緒にクレープシュゼットの炎を見つめてくれた
二つの瞳
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