初恋の一日/小川 葉
 
意味もなく
突っ立っている
その言葉に
気づいている
きみひとり
髪をぬらして
雨の中にふたり
傘をひとつ買った
初恋の朝

目的もなく
寝ころんでいる
その眼差しに
気づいている
ぼくひとり
髪をなびかせ
雲の上にふたり
林檎をひとつ買った
初恋の午後

理由もなく
ただ歩いている
その歩幅に
気づいている
きみとぼく
髪はもう乾いていて
道の果てにふたり
月をひとつ買った
初恋の夜
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