自転車ロボット/楢山孝介
小学生の頃に乗っていた青い自転車は
ボタン一つでロボットに変形した
サドルの裏側にボタンはあったのだけれど
変形すると股間に隠れてしまい
外からは押せなくなってしまう欠陥品
だから自転車に戻るのはロボットの気分次第
あまり賢くないので何を言っているか分からず
会話が通じ合うことはなかった
遊びの帰り道、一人でいるのが何だか寂しい時には
自転車を降りて変形させて、ロボットと並んで歩いた
猫に驚いて逃げるロボットを追いかけたり
メス(?)らしき綺麗な自転車を見つけると
追いかけようとするのを引き留めたりした
寂しい気分の日はとても多くて
自転車に乗る日よりロボットと歩く
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