案山子の観る風景/朝原 凪人
お日様の顔が上気しているのは
一日の仕事を終えて
お酒を飲んだからでしょうか
赤い赤いお日様に中てられて
おじいさんとおばあさんも
僕を残してお家に帰ります
「今日もよく働いた」
言葉少なにおじいさん
晩御飯ではうとうとしているお日様と
静かに乾杯をするのでしょうか
僕は一本足で立ったまま
お日様が眠りに就くのを見るのです
お山の向こうのお布団にお日様が
大きなからだを横たえるとき
世界の端が焼ける音を聴くのです
寝相の悪いお日様は
時々世界を焦がすので
その臭いには鼻が曲がりそう
お日様の寝ぼけた顔は見たことないけれど
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