ここだけ/乱太郎
 
ここだけの話って言うから
僕はここに置いておくつもりだった
あなたの大きな目を信じて
たいして大きくはないと思ってはいたけど
そう言うから

嵐が去って
野原を見渡せば

あそこに
あそこだけの石が転がって
むっすりしている

そこには
そこだけの水溜りがあって
あなたの顔を映している

向こうにも
向こうだけの砂の山があって
風に飛ばされようとしている

こちらにも
北側にも
南にも
ここだけが
あちらこちらに
ほんのちょっとずつ形を変えて

神様
うそでしょ
真理は一つのはずではなかったの

夕暮れ時
彼女が山のてっぺんで
大声を出しているのが聞こえたよ


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