単純な直線/
カンチェルスキス
その手が欲しかった
その手を手に入れて
その手の中に私の手を入れて
その手が欲しかった
何ができただろう
その手で溶けるを実感し
時計の流れるを卓越し
この世界の両端を消して
再び戻ってくる
激昂すら含めて
私の手をその手の中に入れる
元の形を思い出せなくなるまで
私の手をその手の中に入れる
往来の鼠を踏み潰す足音
私はその手が欲しかった
歴史を貫く
一本の単純な直線だった
戻る
編
削
Point
(4)