さよなら/東風
 



幼き頃にデパートで
母の手すり抜けもぐりこんだ

光に透けるやわらかな
いろとりどりの布の回廊

今にも何処か不思議の国へ
迷いこめると信じられるほど

キラキラとした心地のよい場所
だったのに、


今に見れば
けばけばしい婦人服の群れでしかなく

母に迷惑かけたなぁ
という感慨とともに

不思議の国の入り口は閉ざされてしまったようだ


これが大人になることだったなら
むなしい、気もする



(だから詩を書くのかもしれない)
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