寒月夜/蒼木りん
 
勝手に傷ついて

眠ってしまおうとした

名残りに

カアテンの間から見たのは

氷の海に漂っているような月で

たぶん

あの人はいま お喋りに夢中で

あの月の悲しげな色なんて

知らないのだろう

この月を

どのくらいの人が見ているだろう

今夜

私の窓辺に招いて

音の無い言葉で語る

傷つくことに慣れてしまえばいい

黒を白にする業を身に付ければいい

私はあした

顔を上げて歩けばいい


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