実像が歪んでいく/白寿
 
例えばAという人物がいて、
他人である誰かがAに対して抱くイメージは、
果たして実像に等しいだろうか。
人間は、往々にして自分の望むとおりに
他人を歪めて見つめている。
あらゆる事物の、その多面的な「実像」を
この眼で見つめられたら――。
 
在りのままに映せないのなら、
もう誰も見たくはないよ。
在りのままに映らないのなら、
誰かの望むままに自分を演じ続けていたい。
それが優しさだと思っている。
コイツ頭がおかしいんじゃないかと思われるかな。
「他人のために生きること」が、
「自分のために生きること」だと信じている。
戻る   Point(1)