遠方の死/楢山孝介
 
父の古くからの友人Kさんが亡くなった
現場仕事で足を滑らせて
屋根から落ちてしまったのだという
一人で作業をしていたので発見が遅れたのだとか
うちからは遠く離れた岡山県の端の方での出来事

中学生になりたての頃
Kさんの別荘に家族で泊まりに行ったことがある
別荘とはいっても
都市部から離れたところにあるだけのごく普通の家
遊ぶところも何もなく、子供には退屈だった
買っていった週刊少年マガジンばかりを
貴重な時間を費やして繰り返し読んでいた
その号の『BOYS BE…』では田舎に帰省した少年が
従妹と淡い恋に落ちていた
夜には天井からムカデが落ちてきた

父は古い仲
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