太陽を待ってる/快晴
 
ぐに留守電に切り替わってしまう

この道20年のタクシー運転手のキヨシは
今日もノルマを達成出来ず途方に暮れて
路肩に車を寄せてお気に入りのセブンスターを深く吸い込む
どこかから転がってきた小石がタイヤをかすめて
胸のポケットから離れて暮らす息子の写真をそっと取り出す

今日もまた不採用通知を食らったリョウは
深夜のファミレスで何度もコーヒーをお代わりしながら
窓の外を見ると頭部の薄くなりかけた男がタバコをもみ消している
いい加減にそろそろ本気で別れを切り出そうとして
レイナの携帯番号を呼び出してはまた閉じる
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