まどろみ/小川 葉
けなんて未知の記憶さえも瓶の中に
密封されているわけですし私もちょうど今
崖を踏みはずしているところでそれどころではなく
高層ビルの見本市のようにそれらはやがて
むかし拾った石ころをコレクションしていたみたいな感覚の
羅列されたイメージとなっていくことだろう
まどろみは限界に達している
落ちることのゆるされない崖が用意されていて
つかまるための養分を得るための根っこが用意されていて
私たちは生きているのだと言うそれは他人ごとのようにスキップされてゆく
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