雨の伝う肩が/銀猫
遠雷が止み
雨の最初の一滴が落ちるまでの
僅かな静寂に
こころ、ふと無になり
空の灰色を吸い込む
程なく落ち始めた雨粒に
再びこころには
水の班模様が出来て
潤う、のでなく
惑う、でなく
ただ音にかき乱される
雨脚が強くなった
屋根に守られていながら
髪は
肩は
びしょ濡れになる
儚く貼りついた薄い袖は
どこか水を求めたひれのようで
雨のさなかに
泳ぎ出したい
そんな気持ちを抑えている
さかなのように
するりと
暗い水から抜け出したいのかも知れない
水、水は冷たくても、
水ならば
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