【短歌祭参加作品】春を待っていたのです/たにがわR
 
そういえば、春をずっと待っていたのです。春らしからぬ、風に身をよせ

いつのまに桜は散ってしまったの?桜のように私も消えたい

その月を明るくなるまで探してた。君も見ている青い月です

一杯の水をください。その水に、君の呼吸を少し溶かすの

その涙、明日も覚えているでしょう春に涙は似合いすぎます

その顔は、確かに君の顔のよう。でも君の素敵は、そこに無いです

つなぐ手は、僕が左で、君が右。確認もなく、手を握るのです

今日もまた、それが何かと探している。春に紛れる、その何かとは

その色は、あなたの好きな色でした。母の手にある薄桃(うすもも)の手紙

約束の日を改めて確認する。そう、そんな日は、春に無くとも

戻る   Point(5)