全員透明三角ベース/楢山孝介
 

日曜の朝の公園にて
一人で三角ベースをやってみた

透明ピッチャーが投げた透明ボールを
透明打席に立つ僕が
透明バットで打ち返す
透明打球は透明セカンドの頭を越して
外野に点々と転がっていく
足の遅い透明外野陣は
なかなか透明打球に追いつけない
透明コーチャーのグルグル回す手に導かれて
塁から塁へと僕は走る
透明観客は歓声をあげ
その中にいる僕の透明恋人は胸を揺らす
透明本塁に突入するものの
ようやく外野から帰ってきた透明ボールが
透明キャッチャーにストライク返球され
惜しくも憤死
透明観客たちの歓声は溜め息に変わった

公園にいる老人や子供たちには

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