泣きながら完璧に/ロカニクス
プロペラが分裂していく
男の目の前の
さらに前時代に
雨が降って椅子ができた
その椅子に男が一人
座って森を見ている
何を見た
プロペラでできているのに
男は台の上にのぼり
回転させる
四辻の涙
プロペラが笑っている
笑いながら分裂していく
これは十字架じゃない
真っ直ぐに伸びているだけ
どうか歴史を救おうとしないで
黙って時を信じて
古い手紙が降りてきた
差出人は崖で
宛先は河畔だった
かつて完璧らしきものが
尊ばれた時代があった
涙が霧になり
森が完成した
回転速度が天に導かれる中
振り向いている
後何回
完璧になればいい
男はプロペラになりたかった
こんな一人きりではなく
後三人いてほしかった
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