冬、春、君/テルテル坊主
 
君は何も言わなかった
初めて会った時も

ただただ僕を見て
ただただ体が冷えていた

泣き顔とも笑顔とも言えない顔をして
こっちを見て
白い息を吐いていた

朝は朝もやの寝巻きを羽織り
静かに現れ

夜は星空のドレスを纏い
夜に紛れる

そんな消えたり現れたりする君だけど
いつも君の気配を感じていたんだ
そう君はいつもそばにいた

冬から春に季節が変わる
名残雪の花びらの様に消えた君

必死で探しても

あるのは君の香りと思い出
朝もやの寝巻きだって
星空のドレスだって

残して去って行った

もう気配は感じない

何も言わずに去った君



そして


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