冬、春、君/テルテル坊主
君は何も言わなかった
初めて会った時も
ただただ僕を見て
ただただ体が冷えていた
泣き顔とも笑顔とも言えない顔をして
こっちを見て
白い息を吐いていた
朝は朝もやの寝巻きを羽織り
静かに現れ
夜は星空のドレスを纏い
夜に紛れる
そんな消えたり現れたりする君だけど
いつも君の気配を感じていたんだ
そう君はいつもそばにいた
冬から春に季節が変わる
名残雪の花びらの様に消えた君
必死で探しても
あるのは君の香りと思い出
朝もやの寝巻きだって
星空のドレスだって
残して去って行った
もう気配は感じない
何も言わずに去った君
冬
そして
春
戻る 編 削 Point(3)