ある親友/まどろむ海月
 
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  ? 彼



味噌っかすの子でありました

家での安らぎの場所は押入れの暗闇
たいていそこで うつらうつらと

青空と雲
黄昏の風と 夕焼け
を眺めているのがいちばん好き

 少年時代
 その寂しさこそが
 自分自身でもあったような

家庭内の異邦人
親兄弟と心が通じない

ほしかったのは真の親友のみ
身を切る孤独を
彷徨い 彷徨い
その蒼さの窮みの思春期
ついに得られた友

彼は肉親以上に大切な存在になりました


 故郷の 林や里山 川や湖の畔
 日々 時を忘れて散策し
 語り来たり 語り行き
 語りきり 
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