苺を求むる/カンチェルスキス
 
らは夏にはサンオイルを塗りますけん。毎夏、日に焼け過ぎて、2ちゃんねるであいつは歩く備長炭だ、みたいな書き込みがありましたけん、わしも、はらわた煮えくり返っておったけん、塗りますけん、サンオイル、ほいじゃ、これから家に帰って、夏を待ちわびますけん、さいなら」
 わたしの小さな胸の中では、目の前のご老人はすっかりお爺さんと認識されていましたが、お婆さんのようでもありました。杖でもって手を振るご老人の後ろ姿を見ながら、蟹を食べるのがお上手なのね、きっと、と青竹踏みを毎日欠かしていないせいか身体の調子が良いときのような明るい気持ちにわたしはなりました。けれど、懐疑という二文字はわたしの足の裏に住み着い
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