現実が虚構に勝つ時。その嘘。/箱犬
今日、久しぶりに夢を見まして。
−僕はとても大きなヒグマ。 そして僕はとても尊敬されていました。
たくさんのお供え物。口へと自動的に運ばれる食べ物。
僕は大きくなりました。
「ほらみなさい。あんなふうにあなたもおおきくなるのよ」
クマの親子が僕を見て楽しそうに笑います。そして一礼をすると去るのです。
僕は苦しくて。お腹いっぱいなのに食べなくてはいけなくて苦しくて。
でもお供え物と尊敬の念は消えません。
「ほらみなさい。あんなふうにあなたもおおきくなるのよ」
クマの親子が僕を見て楽しそうに笑います。そして一礼をすると去る
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