レイン/チグトセ
ても動けずに
火の粉の燃え散る音にとてもよく似た
雫の跳ね散る音を聴きながら
断片ばかりを探す
君の最後の言葉の代わりにこびりついた雨音がはがれない
点滅する光は濡れて
乾いて
濡れて
乾いて
また濡れた
明け方の空をシャープペンシルの芯が降っている
褐色の黒鉛は街に刺さり
傘に刺さり
羽を失った鳥は
地表へ逃げたか
宇宙へ逃げたか
ぶつかる音
何も聞こえなくなる
レイン
数限りなく降る芯は
街に刺さり
傘に刺さり
地上に絵を描いていく
空白を埋め尽くすような絵は
集まって言葉をつくる
「さようなら」
に対する
今、長い返事を
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