「生命至上」が、普遍の価値なのか?/カスラ
養老猛司氏の『真っ赤なウソ』(大正大学出版社)を読んだ。
『バカの壁』で知られる解剖学を専門とする著者の、理系学者らしい独特でシャープなその語り口にファンも多いのかも知れない。そしてこの本の中に、どうしても考えざるを得ない記述を見つけた。
スポーツドリンクの配布がアフリカの貧困による(主に脱水による乳幼児)の死亡率を劇的に改善し、その結果、圧倒的な人口爆発が引き起こされているとある。
情報として、日本からもアフリカ各地の医療の存在しない辺境や、貧困地区にボランティアとして医療従事する多くの医師団が渡っていて困難の中、現地で尽力していることを私たちは知っている。しかし、それら医療行
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