投資/小川 葉
 
らくの間ありましたが、私が高校を出てから都会の街で暮らすようになり、そうして私自身も自分に投資しながら、つまり借金をしながら、都会での生活を成り立たせようと努力し、自立しようとしていたその頃、思いもよらず、予想以上に景気は悪くなり、父は五十万円の借金、それに私も五十万円の借金を背負うはめとなりました。それからすぐに父は亡くなり、母も追うように亡くなり、私は心の優しそうなひとと結婚しておりましたから、心配しないで、お父さん、お母さん、と、毎日祈りましたが、しかしその優しそうだった夫は、仕事もせず、遊んでばかりいる人であることが、少しずつ発覚されて、その頃、実家を処分したお金を借金の返済にあて、のこり
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