創書日和「風」/虹村 凌
 
重い体をずるずる引きずる
生ぬるい風がどろりと吹き抜けて
自分の中の何かがさらわれた気がした

もう疲れたよ
寂しいんだ
どこかに寄りかかりたい
もう埋もれてしまいたいよ

山積みになったやるべき事が
目の前で崩壊しそうな素振りも見せずに
上から嘲るように覗き込む
どろりと風が足を撫でる
またひとつ何かを無くした気がする

やわらかい匂いに包まれたいよ
ずっと横になったまま
何も考えないで凍り付いて
いたいっその事太陽さえ凍りついて砕け散って
その五分の間に眠りにつきたい

風が雲を飲み込む

あぁ
もうずいぶんと長い事こんな戯言繰り返してきたんだった
疲れたとかもうだめだとか
どうでもいいんだったそんな事

どろりとした風が太陽をさらけ出す

空に太陽がある限り愛しちゃっていいんだろうか
あっちにいったりこっちにいったり
風になれりゃ会いにいけんのにな
だりぃぜ
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