行方/ロカニクス
 
光を見る眼はもう外れたよ
今私が見ているのは心の中
昔の話が全てを創っている
昔の話は夢の話
祈りは宙を舞って時から逃げていく

永遠と引き換えて手に入れたもの
取り返しのつかない卵
握り締めては
それでもいい
そう叫んで始まった
握り締めた喜びも
不安げな手の力も
いずれすっかり忘れるのに

結局私は何なんだろう
今背負っているものは
叶うことのない願い
歩けば歩くほど
それすら薄くぼやけて時に攫われていく

守りたかったもの
生きていく意味くれたもの
抱き締めようとしては
これがいい
そう呟いて終わるとき
確かめ合う手の温度も
柔らかな笑顔も
本当はすっかり夢でしかないのに

それでいい
そう一人笑えるようになってどれほどか

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