訃報/たにがわR
いずれにせよ桜は散っていく
まるで、まわりくどい恋文のように
あなたと僕の間を、廻(めぐ)っていた感情は
不意に来たあなたの訃報でかたちとなって
ただ、ひたすらに他人でありつづけた奇跡を頷かせた
新宿では雨が降っている
もう少し季節が過ぎるとやまない雨もあるのだが
今日の雨は明日にはやんでしまうだろう
時に花びらが
雨の重さに耐えきれなくて落ちるように
思いのたけをはせるほどに
降りしきった雨の後には
なにがしらかの悲しみが置かれている
散っていくのも桜なら
散らずに残ってしまうのも桜には違いない
散っていく桜の悲しみに耐えられなくて
そして、あなたへの思いにおしつぶされて
前を見ず、ひたすらに下を見ながら
がむしゃらに生きるよりは
道端の石に、すわったり、たったりして
少しひとやすみをしながら
時には、空を見上げて、緑とかわった桜を見るよ
あなたが好きでした
立夏、暑さなどはまだ感じない
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