背中/千月 話子
赤い夕日が広がって
誰かの背中が燃えている
ゆっくりとオレンジ
急ぎ人が赤々と
今日の日よ さようなら
夕食の炎と共に
醜い私達 燃えてしまえ
赤い夕日が広がって
誰かの背中で花が咲く
あまりに美しいから見続けた
私の白目が燃えている
赤い花びらが散らないように
背骨の茎を折らないでいて
夕焼けを歩く私 夕焼けを歩く
隣の家のお姉さんが
庭で ちろちろ と燃えながら
タンポポの綿毛を ふ と飛ばしているよ
頑なに白を示す種も
浮き上がれば 夕焼け火の粉
私達が遠い国から順番に燃えていく
「彼女の背中を見てはだめよ」
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