囂々天国/吉岡孝次
 
厚い雲が日中の暑さをまったりと拾い
風が だから冷たい
土手から眺めれば人の築いた塚に灯火は 赤く
「殖えたい」「殖えたい」と
スープみたいなカプセルみたいな螺旋馬鹿が
理知を
貝殻もどきの絵札をたぶらかして これだ
もう一度言う
風が だから冷たい
少ない方の明るい窓が
暗き不在と隣り合う
すでに
数百万年
浮き沈みも落ち着いて
大陸からもきっと忘れられている
まだ見える町の姿態が
終わらない
幾度もサーチされる生前の
面談から始まる四肢の饒舌のように


  天国って何処さ
  帰らなきゃ
  地獄って何処さ


ゴーゴー ヘヴン
汗をかいた腕時計を
右手に嵌めかえる
たとえ没するとしても
百歩先あたり
指差すくらいなら
地図にない九十九歩で
数えずに ゆく


ゆけるさ
来たのだ

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