五月の/まどろむ海月
 

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  ? 風



何の拘りの
色調もなく
届けられた
薔薇の蕾

花言葉を探してみるが
ほのかに匂ふのは
五月の風


旅の君の便りからは
いつも金色が

 青空の下の
 麦畑の光

 古都の教会の
 鐘の音

 夕焼けの
 風見鶏

 妖精の白い足元からこぼれる
 妙なる調べもあったね

通いなれたジャズ喫茶の
香りのように
それらが懐かしい


わたしは
どんな幻の名前を
呟けばいいのだろう


視界に映った
あなたの秘密は
棘だったか
花びらだったか


それは とうに
墓地に埋められ
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