/ki
紅茶のカップを回す。
くるくる回す。
中身だけが回る。
外は当然笑わない。
目を回すなんてことはない。
だってもう大人ですもの。
笑い方、大人の笑い方は、
右端かと思わせておいて唇の左端を吊り上げて
にいっと笑うことだと、
ある恋愛小説に書いてあったのを私は密かに実行している。
その三日月のように尖った先にあなたは捕まっているのかしら、
唇を撫でながら私の目は笑わないようにするから、
目に力が入って、
いつも目がぱっちりだね、
と言われるのだ。
まぁ、それも全てその恋愛小説で知ったことなんだけれども、
紅茶やコーヒーの色の髪をした
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)